2012年11月11日

East Of Eden

即効小説トレーニング http://webken.info/live_writing/try.php さんで書いたものに+したもの。
最初のバージョンはこっち http://webken.info/live_writing/novel.php?id=4535

 時間が過ぎていくのが分かる。僕はどうしてもその先にいかないといけないのに。どうすればいいのだろうか。

 『EOfE』に出会ったのは。よくあるゲームのつもりだった。iPhoneのアプリをダウンロードし、始める。
 最初は借金を背負わされる。といっても実際の金でなくポイントだ。そのマイナスになっているポイントを様々な行為で減らしていく。
 例えば、様々な場所を巡り、タグ、地域によって置かれているマーカーを集めていく。そうしていくうちに仮想空間の方にも自分の世界ができてくる。
 そこはユーザーにより天国のような世界だ。自分で作る世界。それを好きなもので、満たしていくのが楽しい。
 そうして楽しんでいるうちに知りあいができてきた。
 暇をもてあました主婦、疲れ切ったおっさん、大麻が好きで海外にちょくちょくいっている地下アイドル、進学校に通う高校生。田舎から出たいと嘆く地方公務員。
 ちょっと名前だけ分かっているやつもいた。
 知り合いや、顔見知りはひっきりなしに、現れては消えていく。
 ちょうど大きなプロジェクトに関わったせいで僕は『EOfE』から離れた。
 日常もしっかりこなせばそんなに悪いものでは無い。トラブルに巻き込まれるのもイベントの一つだし、嫌な奴に頭を下げるのもスキルを習得し居ているのだと思えば悪くない。現実も一つのゲームみたいなものだ。そして自分の力ですら大きなものを動かしていくのも分かるのもいい。一部であり、同時に全体に似た、相似形だから。
 プロジェクトが終わり、久しぶりに『EOfE』を開いた。確認すると前までいた知りあいは殆どいなくなっていた。この手のモバゲーにととっては珍しいことじゃなない。システム的には、みんな似ているから、完全に辞めるのは難しくとも、あっさり新しいものに移っていく人間も多いから。
 開くと声をかけてきたのは地下アイドルのコだった。アイテムが欲しいという。少し意地悪く『え、これは貴重品だから』。そういうと、彼女がいってきたのは、いくらほしいか?という言葉だった。あまりに真剣だったので、彼女に譲った。アプリに奇妙な画面が現れた。そこは楽園だった。自分のでは無い、彼女がほしがっていた楽園。
 上方か、下方かは分からない。彼女はどこかの世界にシフトしたのだ。
 『EOfE』、East Of Eden、聖書に約束されたエデンの東にある楽園。
 自分が取り残されたのは本能的にわかった。 彼女は自分の作った世界にいったのだ。
 僕は・・・・
 エデンの向こうには、もういけない。東の地に僕はいない。
posted by 作者 at 19:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 掌編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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